a.隣地との境界確認
底地に限らず、土地を物納するためには隣地との境界が確定していることが必須条件です。隣地所有者が土地登記簿記載の所有者と一致している場合には、境界線に関する確認書(その1)を隣接所有者に提出していただき、隣地所有者が土地登記簿記載の所有者と一致していない場合(相続未登記などの理由で)には、境界線に関する確認書(その2)を隣接所有者に提出していただく必要があります。提出物はこれ以外に測量士作成による物納申請地の実測図、公図、登記簿謄本が必要になります。登記簿面積と実測面積が異なる場合には地積更正登記を要求されることもあります。
また、境界標は実測図(地積測量図)に記載されている種類と異なっている場合には、図面の訂正を求められますので、注意を要します。
b.貸地(底地)の境界に関する確認
底地を物納するためには借地権者から借地の範囲に関する確認書(賃借地の境界に関する確認書)を提出していただく必要があります。
また、分筆していない土地の底地を物納するためには、借地権者から借地権が及ぶ範囲に関する確認書を提出していただく必要があります。
c.工作物等の越境に関する注意点
境界線上にフェンスや塀などの工作物が存在していたり、隣地の植木が物納申請地に越境しているなどのケースは少なくありません。その場合にはケースに応じて、各種書類を提出しなければなりません。
隣地所有者のへイなどの工作物等が物納申請地との境界上に存在している、または越境している場合には、隣地所有者(工作物所有者)から工作物等の越境の是正に関する確約書(その1)を提出していただく必要があります。
また、上記のケースで塀などの工作物等の所有者が物納申請者と隣地所有者の共有の場合には、物納申請者と隣地所有者の連名による 工作物の越境の是正に関する確約書(その2)を提出する必要があります。
さらに、物納申請者所有者もしくは物納申請地上の借地権者が所有している建物等が境界線を越境している場合には、隣地所有者もしくは借地権者から、建物等の撤去及び使用料の負担を求めない旨の確約書を提出していただく必要があります。
上記の書類を隣地所有者から提出していただくのはかなりの労力を必要とします。相続後に底地の物納を考えている場合には、あらかじめ工作物に関して測量士に調査を依頼しておいたほうが良いでしょう。
d.埋設管に関する注意点
貸地(底地)の場合には、水道管等の地下埋設管が貸地の区割りを超えて存在しているケースが珍しくありません。そういうケースでは、隣地から越境している埋設管等の撤去を求められます。また区割りを超えていないものの、使用していない埋設管等がある場合にも撤去を求められますので、要注意です。