借地人から借地権付き建物を買い取ってほしい旨の依頼があります。私は買い取った後に、新しい建物を建築したいと思っていますが、今の建物には飲食店などが入居しています。立ち退き料はどのように見積もれば良いでしょうか。また、注意点は何でしょうか?

 底地・借地の関係にある土地に於いては地主または借地人が相手方の権利を買い取る方法が権利関係の清算に一番良い方法だと思います。しかし建物にテナントが入居したままこの権利を承継するのであれば、買取金額に相当な減価が必要です。 特にテナントが飲食店と云うことであれば、営業権を主張することは覚悟して下さい。近くに移転先がない場合は立ち退きに多くの時間を費やすことにもなりませんので、事前に近隣での店舗を見つけるか、建物の築造後再入居のプランも検討する事になる可能性もあります。テナントの移転補償費は税法上でも評価されている評価割合(借地権価格の30%)を支払う覚悟がないと交渉にはならないでしょう。当然借地権の買い取り価格から差し引く事は云うまでもありません。
 飲食店や物販関係の場合、営業権が発生しているという観点から場所的利益に対する立ち退き料と考える場合は、営業利益の3年分相当額を基準とする向きもありますが、営業利益自体きちっと申告していないこともあるので、あまり参考にはなりません。ですから最近では事前に移転先を確保したうえで、前払い賃料+保証金(賃料の10カ月分程度)+引越代+α(場所的格差補償)といった要領で見積をしています。