底地を借地人に売却する手法です。底地の処理方法の中で最もオーソドックスな手法です。
借地人の大半はいつかは底地を購入したいと考えています。
しかし、地主が底地の売却を希望しないケースも少なくなく、その場合は賃貸借関係が継続します。
借地人が底地を購入したいタイミングは、賃貸者契約の更新、建物の建て替え、借地権の売却などの時期です。
それぞれ更新料、建て替え承諾料、名義変更料の支払いが発生しますので、それらを支払うよりは底地を購入したほうが計算上、有利になると判断するからです。
ただし、借地人の多くは高齢化していて、子供達が独立していて他に住居を構えているケースが少なくないため、底地を購入できる借地人の割合が減少していることも事実です。
それは高齢の借地人は資力に乏しいことと、その子供達も住宅ローンを背負っていることが少なくないからです。
地主が底地を借地人に売却するタイミングは、地主の相続時期であることが少なくありません。
相続税の支払いを現金で行うために、底地を借地人に売却するのです。
そのためには、相続発生前に底地を利用区分毎(借地人毎)に分筆しておく必要があります。
相続税の納付は相続発生日から10ヶ月しかありませんので、相続が発生してから分筆したのでは納付までに間に合わなくなるからです。
分筆に要する費用は相続発生前であれば、不動産所得の必要経費となり、相続発生後には分筆した土地を譲渡した場合のみ譲渡所得の必要経費となります。
従って、底地の分筆は相続発生前に行っておくことが肝要です。
また以前は相続発生後に底地を物納するという手法が採られましたが、平成18年の税制改正によって、物納が極めて困難になりました。